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ヘリ墜落事故の報道について [航空機事故]

わたしは一応ヘリパイロットですから飛行機やヘリの事故については興味があります。
しかし、いつも思うことですがヘリの事故に関しては首を傾げたくなるような記事も多いです。
今回も思うことがあるので取り上げてみます。

どの記事でも良いのですが、YahooJapanの産経新聞の記事を取り上げてみました。
まずは全文を引用します。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071029-00000088-san-soci

堺のヘリ墜落、上空で失速して墜落 原因解析へ
10月29日12時28分配信 産経新聞

 堺市の南海高野線に大阪航空(本社・大阪府八尾市)が運行する小型ヘリコプターが墜落、操縦士と乗客の2人が死亡した事故で、機体は上空で突然失速し、墜落したことが29日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった。操縦席の上にある主回転翼(メーンローター)は落下を始めた時点では回っており、2枚のブレード(羽)は架線への接触時か墜落時に破断した可能性が高いという。
 堺北署捜査本部は29日未明、事故機を現場から大阪府八尾市にある大阪航空の格納庫に移動した。機体全体の破損状況を詳しく調べるとともに、欠落した部品がないか調べ、事故原因の解明を進める。
 事故調によると、事故機は27日午後3時5分ごろ、「これから八尾へ帰ります」と無線連絡後、何らかのトラブルで失速。水平方向に回転した後、やや放物線を描くように落下を始め、最終的にはほぼ垂直状態で機首から墜落した。目撃証言などから、落下を始めた時点ではメーンローターは回転していた。
 このときにエンジンが動いていたかどうかは不明だが、エンジンや後部回転翼(テールローター)にトラブルが発生し、制御不能に陥った可能性もあるという。
 一方、捜査本部の司法解剖で、操縦士の山本克彦さん(40)は頭部挫滅、乗客の会社経営、山本一樹さん(44)は両肺挫傷でそれぞれ死亡していたことが判明した。

それではここから少し解説を入れてみます。

 堺市の南海高野線に大阪航空(本社・大阪府八尾市)が運行する小型ヘリコプターが墜落、操縦士と乗客の2人が死亡した事故で、機体は上空で突然失速し、墜落したことが29日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった。
>上空で失速? しかも「突然」ですので、急にLowRPMになったと解釈するのでしょうか。いずれにしても意味不明かつ不正確な解説です。おそらく機体が急激に減速したことを表しているのでしょうが、それならそう書くべきです。

操縦席の上にある主回転翼(メーンローター)は落下を始めた時点では回っており、2枚のブレード(羽)は架線への接触時か墜落時に破断した可能性が高いという。
>実際のところメインローターが空中で完全に停止することは空力的にまずありえないです。あくまで完全停止という意味ですがR22は低慣性ローターなので、すぐLowRPMにはなります。70%などはもうクリティカルですが実際にはあっという間にそこまで落ちます。

 堺北署捜査本部は29日未明、事故機を現場から大阪府八尾市にある大阪航空の格納庫に移動した。機体全体の破損状況を詳しく調べるとともに、欠落した部品がないか調べ、事故原因の解明を進める。
>それは警察の仕事か?それとも航空事故調査委員会の仕事でしょうか? 多分管轄で暗闘があるのではないかと思いますが、詳細は不明です。

 事故調によると、事故機は27日午後3時5分ごろ、「これから八尾へ帰ります」と無線連絡後、何らかのトラブルで失速。
>また「失速」です。しかししつこいのでもうやめます。

水平方向に回転した後、やや放物線を描くように落下を始め、最終的にはほぼ垂直状態で機首から墜落した。目撃証言などから、落下を始めた時点ではメーンローターは回転していた。
>おそらくここが最も重要です。水平方向に回転したというのは、どちらに回転したかによりますが、テールローターの不具合がもっとも考えられます。たとえばエンスト(PowerFailure)になったとしても、エンジンは瞬時に切り離されますので、パイロットにとってヨーはコントロールできるはずです。
「落下を始めた地点ではメーンローターは回転していた」というのはある意味当然なような気がします。瞬時にメインローターが停止するとしたら、一番ありそうなのはメインローターギアのスティックでしょうか。(聞いたことありませんが)

 このときにエンジンが動いていたかどうかは不明だが、エンジンや後部回転翼(テールローター)にトラブルが発生し、制御不能に陥った可能性もあるという。
>エンジンがストップしてもすぐに制御不能に陥るわけではありません。ただ、高度も速度もない場合はどうしようもありません。
ちなみにテールローターフェイリャーは速度がない限りどうしようもありません。エンストよりもはるかに厄介な故障です。
テールローターギアボックスにもチップディテクターがあり、マニュアルの指示では妙なノイズや振動があれば「Land immediately」 つまり緊急着地(降りられるところにすぐ着陸)となっています。当然の指示です。

この記事では意味がわからない部分も多いです。発表をただ再配信するだけの報道なら、新聞社はいらないような気がしますが。新聞社にもヘリパイロットがおり、おそらくR22に乗ったことのないパイロットは珍しいと思います。意見を聞いてみたらどうでしょうか、と余計なことを言いたくなります。


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