So-net無料ブログ作成
検索選択

MFi 「プリウスのテクノロジー」紹介 [クルマ関係]

愛読しているモーターファンイラストレイテッドからプリウス解説号が発売されました。

この号は大傑作だと思います。プリウス自体がテクノロジー的にはきわめて面白いので、解説するほうもやりがいがあったのでしょう。気合の入った記事ばかりです。
これまでプリウスの解説本はいろいろ出ていますが、この本は決定版といえると思います。類書に比べて突っ込みの深さが全く異なります。(そのかわり、一般向けではないかもしれません。)

楽天ではこちら


これを読むと、ますますプリウス以外のトヨタ車を買うのがバカバカしくなる感じです。まあそんなことをいちいち指摘しなくても、現時点でプリウス以外の販売はガタガタです。ユーザーはわかっていますね。

それでは内容の紹介や、感想を書いてみます。


なお、アマゾンではこちらです。



一応お断りしておきますが、この本はあくまでプリウスの「テクノロジー」について解説してある本ですので、これからプリウスを買おうかと思っている人が読んでも何の参考にもなりません。実用燃費が??km/hとか、減税とか、値引きとかいうような実務的な内容は皆無ですので、お間違いなきよう。
この本のターゲットは「プリウスを買う人」というよりは「走る機械としてのプリウスに興味がある人」です。

3代目プリウスは、基本的にはシステムの考え方は2代目からのキャリーオーバーです。しかし、重箱の隅をつつくような改良が全方位的にされており、あらゆる面で先代より進化しています。また評価される対象として日本だけでなく、欧州の方を向いたのが設計哲学の大きな変化です。



それでは最初の方から紹介してみます。
最初の総論はよく出来ていますが、まあ目新しい部分はありません。

各論の最初はトランスアクスルです。ここはTHSの心臓部です。とくに動力分割のプラネタリギアの製造の話は面白かったです。二つのプラネタリギアを合体させるという構造で、相当凝った構造ですがシンプルですばらしいと思います。こここそがシリーズでもパラレルでもないTHSの特徴です。

エンジン編ではクールドEGRの説明がまあまあ興味深いところですね。何のために採用したのか良くわかりませんでしたが、やはり冷却損失の削減とポンピングロスの減少を狙っているようです。またEGRのおかげで全域ストイキ燃焼ができるようになったとか。それはそれですごいことです。
プリウスのエンジンは最良点で燃料消費率(BSFC):220g/kw以下をたたきだせるようですが、すごい値です。これは換言すると熱効率36%になるそうですが、NAのガソリンエンジンとは思えないような値ですね。
プリウスはハイブリッドとはいえ、結局走行エネルギーはすべてエンジンから得ているわけですから、エンジンの効率こそプリウスの生命線です。次に大事なのはバッテリーでしょうが、プラグインではいざ知らず現状のハイブリッドシステムではエンジンの方が大事でしょう。
しかしエンジンの性能やシステム構成からみて、日本の街中で使用するなら1.8Lのエンジンは過剰に思えます。明らかに欧州向けの改善でしょう。日本向けは1Lターボなどにすればよい気がします。
わたしは専門家ではありませんが、31ページの「Professional eyes」に書いてあることはいちいちもっともだと思います。全域ストイキ燃焼は日本初らしいですが、たしかにすごいことですね。GT-Rの200km/hストイキ巡航もすごいことですが、テクノロジーとしてはプリウスの方が面白いです。

そのあとは電動ウォーターポンプの話です。ただのポンプではありますが、さまざまなノウハウが詰まっている部品のようです。軸のDLCコーティングなど意味が良くわかりませんが、とりあえず凝った部品であることは良くわかります。
ポンプ動力が12V駆動の160Wというのが驚きです。いかにエンジンの効率が高く冷却水への廃熱が少ないかがわかります。ポンプの動力が160Wで済むということは、おそらくヒーターの効きは悪いでしょう。排気熱回収システムは必須だろうと感じます。ちなみに先代の北米向けで採用されていた魔法瓶はないようですね。

PCUの話は割愛します。IGBTの冷却の話をされても意味がわかりませんし、興味もありませんのですべて省きます。

そのあとはモータージェネレーターの構造です。3代目ではかなりの小型軽量化が達成されています。リダクションギアをかませるので当たり前かもしれませんが、プリウス以外に搭載することを考えると小型化は重要でしょうね。しかし、モーターの冷却が水冷でないところが驚きではあります。ただし初代は水冷だったそうです。

そのあとは空力とデザインです。車は下から見るとコストのかけ方が良くわかりますが、プリウスはその点でも手を抜いていない感じです。空気抵抗係数Cd=0.25を死守するとか、デザイナーとの妥協とかいろいろ書いてありますが、ひとこともCl(リフト係数)の話は出てきません。Cdの話をするならClは不可欠だと思いますが、全く出てきません。たぶん相当悪いんでしょう。
リヤアンダーパネルのバーチカルフィンは笑いました。こんなものを付けるハメになったのは、たぶん超高速域で直進安定性が悪く、そのため仕方なく付けたのではないでしょうか。そのあたりのことをエンジニアに聞いてみたいです。

あとはシートとか内装です。ここはようやるわという感じです。グラム単位の軽量化というのが良くわかります。サプライヤーの意地が一番伝わる部分です。

ある意味一番驚いたのが、中間膜をはさんだ積層フロントガラスです。こまかいことは省略しますが、ユーザーに全く見えないようなところにこのようなテクノロジーが採用されているのが驚きでした。

あとはボディコンストラクションとかサスペンションです。
とくにサスの説明には気合が入っています。サス形式はフロントがストラットでリヤがカップルドビームアクスルで、要するにFFの定番です。細かい改良点が大量に記載されていますが、減衰力の最適化とか、剛性の最適配置などと書かれても意味がありません。そんなことを記載しても仕方ないでしょう。
ちなみにこのプリウスのサスは国政氏には酷評されています。「エンジニア・オリエンテッド」と書かれていますが、言い得て妙ですね。

ブレーキの解説ですが、確かに現行プリウスのブレーキ(フィーリング)は良く出来ています。もちろんケイマンやCB1300SFのブレーキと比較するべくもありませんが、先代から比べるとはるかにマシです。(というか先代がひどい。)
そのあたりのブレーキの構成が詳しく書いてあります。これから主流になる電気駆動車では常に問題になる回生と油圧のミックスのノウハウについては、やはりプリウスは一歩先を行っている感じですね。
ちなみにアイMiEVは純油圧ブレーキ(しかも負圧は電動ポンプで発生するという回りくどい構成)でこの問題を避けています。トヨタほど開発費をかけられない台所事情が垣間見えます。

最後には初代、先代のプリウスの解説があります。初代で基本システムとパッケージングは完成されていたので、あとは改良を重ねただけともいえますが、その改良具合がハンパではないのが良くわかります。


ほかにはハイブリッドのレーシングカーの記事もありますが、これは以前の記事そのままですし正直言ってレーシングカーなどに興味はありません。ロードカーの現行プリウスの解説の方が面白いです。



相変わらず長く書いてきましたが、プリウスを理解するのにこれほどいい本は現時点でほかになさそうです。プリウスのメカニズムに興味があればぜひお勧めします。
しかし、モーターファンイラストレイテッド別冊すべてにいえることですが、メカに興味がない人にとっては全く意味がわからない本でしょう。そういう意味で読み手を選ぶ本ですが、この値段でこの内容は激安だと私は思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。